COLUMN

若手社員が仕事に希望を
見いだせるマネジメント

近田 高志 氏
一般社団法人日本能率協会
KAIKA研究所所長

近田 高志 氏

若手社員の「働くこと」への期待と不安

企業経営を取り巻く環境は、これまでに経験したことの無い変化にさらされています。デジタル技術の進化、グローバル競争、環境問題への対応、少子高齢化に伴う国内市場の成熟化。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大は、経済活動や企業経営にも、大きなインパクトを与えています。

こうした社会経済の変化は、働く側の心理にも影響を及ぼします。「人生100年」とも言われる時代において、とりわけ若手社員が抱く将来への不安は高まるばかりです。今後も労働人口の減少が続くことを考えると、若手社員が仕事に希望を見いだして、イキイキと働き、主体的に成長していく。そのような職場作りに向けたマネジメントが不可欠となります。

職場作りに向けたマネジメントのアンケート1

それでは、若手社員は働くことに対して、どのような期待や不安を感じているのでしょうか。日本能率協会が新入社員を対象に行った調査によると、生活費を得ること以外の働く目的として、第1位に「仕事を通じてやりがいや充実感を得ること」が挙げられました。次いで「自分の能力を高めること」、「社会の役に立つこと」という結果になりました。多くの新入社員が、やりがいや充実感を得ながら、成長していきたいと考えているのです。

一方で、仕事をしていくうえでの不安について尋ねたところ、上位には「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」、「仕事に対する現在の自分の能力・スキル」、「仕事での失敗やミス」という答えが挙がりました。職場に馴染み、仕事に必要な能力やスキルを身に付けていけるかに、不安を感じている様子がうかがえます。

カギとなる「目標にしたい人」の存在

若手社員が職場に定着し、活躍していけるようにするためには、こうした期待や不安を理解したうえでのマネジメントが重要となります。日本能率協会が2019年、入社1~2年目の若手社員を対象に実施した調査が、興味深い結果を示しています。

職場作りに向けたマネジメントのアンケート2

分析したところ、職場に「目標にしたい人がいる」と答えた人の方が、「いない」という人よりも、「能力・スキルアップができている」、「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながりを感じる」とする比率が高いという結果でした。

また、「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながりを感じる」という人の方が、「能力・スキルアップできている」と感じていることも分かりました。さらに「能力・スキルアップできている」という人の方が、「仕事内容に満足している」、「転職を考えていない」と答えた比率が高かったのです。

同様に「会社のビジョン・戦略とつながりを感じている」と答えた人の方が、「会社組織に満足している」、「転職を考えていない」とする比率が高いという結果が得られました。

つまり、若手社員が成長して、仕事や組織に満足し、職場に定着する組織となるためには、「目標となる上司・先輩」の存在がカギとなるということが、改めて確認できたわけです。

若手社員を伸ばすマネジメント

それでは、若手社員を伸ばしていくために、上司・先輩には何が求められるでしょうか。それは、若手社員との「対話」の機会をしっかりと持つことです。自社のミッションや自部門の業務の意義を伝え、その中で若手社員が担当している仕事の意味を理解してもらうことが必要です。

また、組織のなかで成長、貢献していくために、どのような能力・スキルを身に付け、経験を積んでいく必要があるのかを伝え、将来の成長の道筋を見えるようにしてあげることです。仕事に対する自分の考えや、失敗談も交えながら、自身の経験を語ってみても良いでしょう。

こうした対話を、直接の上司・先輩と若手社員の間だけではなく、職場全体で行うとさらに効果的です。若手社員のみならず、職場の一人ひとりが仕事のやりがいを感じ、互いに学び合いながら、主体的に成長し続ける。このような職場作りを目指したマネジメントが、求めらているのではないでしょうか。